チェック柄は何故トラッド系の定番スタイルなのか?
- INOTORI
- 2023年3月21日
- 読了時間: 4分
更新日:4月13日
こんにちは。古着リユース工房inotoriの榎本です。
さて今回は、古着を取り扱う仕事をするようになってから何げなく抱いている疑問である、「チェック柄は何故トラッド系の定番スタイルになっているのか?」
についてまとめていきたいと思います。
まず最初に「トラッド系」という言葉なんですが、これはtraditionalを語源とした和製英語と言われています。
traditionalというのは「伝説の、伝統の、因襲的な、古風な、伝来の」といった意味です。
ご存知のものも多いかとは思いますが、よく目にするチェックの種類をいくつかご紹介します。
・ギンガムチェック

若々しさや明るさ、清潔感を感じさせます。
・バーバリーチェック

元はコートの裏地としてデザインされたものだが、バーバリーブランドのアイコン(象徴)としてすっかり定着しました。
・アーガイルチェック

ダイヤ柄、そろばんに似てることからそろばん柄とも言われ、ニットや靴下などに多用されることが多い。
・マドラスチェック

インドのマドラス(チェンナイ)地方を発祥とし、元々は草木染めの糸による手織りの綿織物だったが、現在はプリントで意図的に色落ち感やにじみなどを表現することもある。
・タータンチェック
タータンチェックについては興味深い話が色々ありましたので、少し長めに取り上げてみます。

「伊勢丹のショッピングバッグ」というとイメージが湧きやすいと思いますが、あの柄もタータンチェックです。昭和35年に製作されたというあのバッグも、今ではしっかり伊勢丹を象徴する存在になってますよね。
タータンは、ヴィヴィアン・ウエストウッドやコムデギャルソンといったファッションデザイナーから、ベイシティローラーズやチェッカーズといったアーティストまで、様々な分野の方を魅了してきました。
現存する最古のタータンチェック布はスコットランドで3世紀(西暦300年代)に発見されたとされ、出身地の推測や戦争時に敵と味方がすぐ判別できる役割などを持っていました。
チェック柄の種類が、日本で言うところの「家紋」のようなものだったようです。
またタータンチェックは登録制であることが特徴で、スコットランドの伝統的な織物として政府の登記局によって保存、保護、登録管理されており、日本人ではRIKACOさんがRIKACOタータンを登録したことで過去に話題を呼びました。
途中、この登録管理団体の変更(以前はスコティッシュタータンズ世界登録簿という名前だった)や、似た団体なども存在しているというなんとも複雑な事情もあるようなんですが、そうしたことも含めて、世界的に魅力を感じる方が多いとも考えられますね!
(出典:『タータンチェックの文化史』)
さて長くなりましたが、以上のことから、チェック柄がトラッド系に定番になっている理由をまとめてみます(やや私見を含みますがご容赦ください)。 ・チェック柄そのものの歴史が永い。 実際にタータンチェック柄が日本で紹介され始めたのは明治時代。その前からすでに日本でも格子柄は存在しているので、日本人にも抵抗感が少なく受け入れられたのでは? ・家紋のように、柄そのものが伝統を含む場合があり、トラッド系という名前と、柄の歴史的背景がリンクしている。 ・日本から見ると、トラッド系→イギリスというイメージがある。しかし実際、私たちがイギリスと言っているのはグレートブリテン島のことであり、そこにはイングランド、スコットランド、ウェールズという異なった国が存在している(3つ合わせてブリティッシュと呼ばれている)。そうした地理的、歴史的要因が、柄によって文化や政治的背景にも影響したり、またチェック柄の深みと魅力をも後押ししている。 以上となります。 ・ ・ ・ ・ ・ いかがでしょうか? 最近ではブリティッシュ発という視点で見ると、リバティ・プリントやウィリアム・モリスのような色彩美溢れる柄も女子を中心に人気が高いですが、チェック柄というのも永い歴史の中で昔から根強く支持されているというのは間違いないです。 コーディネートの視点では、1990年代からスタイルリミックスが始まり、テンションの違うアイテムを組み合わせるのも珍しくなくなりました(例:トラッド+アメカジ+ロック、トラッド+アウトドア+アメカジ)ので、チェック柄に馴染みのない方でもトライしてみる価値はあると思います! ぜひ季節の変わり目などに、新しいチェック柄のアイテムを取り入れてみてください♪
…………………………………………………… ■ 古着リユース工房inotori■ 「きれいを形にして、再生する。」 ……………………………………………………
Comments