ネット古着屋が老舗クリーニング店から渡されたバトンについて考えること
- INOTORI

- 11月16日
- 読了時間: 6分
古着初心者のみなさまへ向けて
こんにちは、古着再生工房INOTORI (イノトリ) のKayokoです。
現在、2025年には古着というものに興味を持つ方が世界的に拡がりを見せている状況ですが、そういった中でも、古着に対して少し苦手意識を持っているみなさまだったり、あるいは古着初心者のみなさまへ向けて、古着を工房にて再生・販売している古着屋INOTORIの考えについて、改めてこちらにまとめてみました。
ぜひ、ご一読いただけますと幸いです。

老舗四代目跡取りの業種転換
時をさかのぼるとこの古着再生工房INOTORIをスタートさせる前、私は祖父の代(1932年)から続いていたクリーニング店を継ぎ、クリーニング職人兼跡取りとして16年間ほどクリーニング業界に携わっていました。
先代亡き後にクリーニング業界入りしたために業界事情もほとんどわからず、最初は全国津々浦々にある、感銘を受けたクリーニング店に連絡を取っては見学や交流をさせていただいたり、ご縁がご縁を繋いだりして、知り合った様々な諸先輩方との交流を行なうことができました。
最初の入り口はそれで良かったのですが、クリーニング業界の中にいると、この需要自体が業界全体で年々縮小していくのがわかりました。そして、その温度感というものが、年々肌身に感じられていました。
ちょうどその気持ちが高まっていく中、クリーニング店としてオリジナリティを出すために、運営するつるやクリーニングの店頭で「不用になった衣類の回収サービス」を付加サービスとして始めたらどうか、ということになりました。回収した衣類の重さをはかり、その重量に応じたクリーニングの金券を発行するという内容でした。
実際に初めてみると、衣類はみるみるうちに集まりすぎるくらい、集まってしまいました。
引き取っていただける業者さんもすぐに見つかりましたが、中にはやはり、そのまま誰かに渡してしまうにはもったいない服も。そういった流れで最初はイベントという形で、クリーニングした古着を販売してみよう、ということになりました。それが2014年の話です。
2014年当時はクリーニング店を運営しながら古着を販売しているという話は聞いたことがなく、リユース業界の知り合いやAIなどのツールもなかったため、全て試行錯誤の日々となりました。不器用なりに、また当時のスタッフさんたちの力も借りながらトライアンドエラーを繰り返し、仕組みをちょっとずつ作っていったという感じです。
時を同じくしてその翌2015年に開催のさいたま市ニュービジネス大賞に於いて衣類のリユース・リサイクルの内容で受賞できたことにより、「これは続けていいこと」だと、見えない誰かから背中を押されたように感じられました。

衣類のリユースを行ないながらもクリーニング業は継続していましたが、クリーニング業を運営する中で一番のネックは店頭スタッフの人材が確保できなかったことでした。そこを起因として直営店を閉店。
ちょうどコロナウィルスの影響でパンデミックが起こった年でしたが、コロナは直接の原因ではありませんでした。
事業を運営する身としては幸いなことに、その時点でリユースのほうが少し育ってきていましたので、そのあたりから本格的に業態転換へ舵を切り始めました。そして2023年に「クリーニング店からネット古着店へ」完全に業種を変更したという経緯です。
クリーニング時代に知り合った方々みなさんに良くしていただき、ありあまる想い出、たくさん思い出されます。
また、クリーニングという職業が自分自身、適職のように思えていましたが、それを続けられなかったのは自身の至らなさだろうと、その時悟りました。
そしてまた、次の事業を始める際に、前職と同じような人手不足に悩まなくて済む体制づくりが必須だと考え始め、ECサイト構築やIT面でのあらゆる未知なことについて継続的な勉強が必要な状況になりました。
頭の中が混乱の極みに至りましたが…振り返ると、リスキリングできる良い機会になったかとは思います。
詳細はこちら↓
古着再生工房INOTORI ホームページ
同じ“服”を扱うのに、アプローチが全く違う…
現在、INOTORIではそのクリーニング業時代の知見を活かして、古着を仕入れ、検品・クリーニング・補修といったメンテナンス後にインターネット上で販売をしています。
扱っているものは「衣類(服)」で、前職のクリーニング時代と同じですが、現在はまずお客様のニーズがあるか否かという点で仕入れを行うため、最初のアプローチが異なります。
クリーニングの時は、お預かりする衣類はあくまで既にお客様の所有物です。そのためクリーニングに対しての期待度というものが「丁寧な暮らしを整える」であったり、「生活リズムを整える」といった感じで、お客様の日常の中にクリーニングというものが存在します。
そういった人の心に寄り添う仕事が、本来のクリーニングの生業(なりわい)と言えるかもしれません。

現在INOTORIは小売業として古着を仕入れています。
仕入れ前にその服がどういう環境下に置かれていたかはわかるすべがないため、あくまで現状の古着の状態に応じ、クリーニングを含んだメンテナンスを施すのですが、過去がわからない分、その古着の状態に寄り添うのがとても難しいと感じるときもありますが、状態に応じたメンテナンスを施し、前使用者の使用感を極力リセットします。
そして、次の使用者の方の手に届いたときに、懐かしさを感じてもらったり、清潔感を感じて快適に着用していただく。そうした状態を目指しているのが現在のINOTORIの姿です。

同じ洋服に対峙しているのに、こうも向き合い方が違うのかと改めて気づかされますが、
メンテナンス前と後があまりにも激変する古着の場合、現在私はクリーニング業界の人間ではないのにも関わらず、再生された衣類を見てふと、穏やかな気持ちになるときがあります。
そうした古着に対しての「優しい時間」(?)を特に誰にお伝えするということは今までありませんでしたが、もしも、お手元に届いた品から、そういった穏やかな気持ちが伝わっていましたら、それは幸いなことかと思います。
クリーニング跡取りが始めた古着の再生工房=INOTORI
私、実は元々ほこりアレルギーで、クリーニング業界に入ったばかりのときはメガネとマスクがないとアイロン掛け等の作業ができず、慣れるまで数年かかりました。また昔友人の付き添いで古着屋さんに入ったときがありますが、やはりあの独特のにおいが苦手でした。
でもクリーニング業に身を置きつつ、それが古着に繋がり、いつしかリユース品は海外に高いニーズがあると知ることになります。リユースの世界へ行くことは、そこから考え始めたのです。
そんな古着慣れしてない人が、“きれい好きのための古着屋”をつくりました。
古着をメンテナンスして、次の使用者様に快適な古着をご提供したいという想いは、クリーニング屋を辞めた今でも、常に持っています。
ここまでお読みいただきまして、ありがとうございました。






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